VIEW'S REPORT 小中高生の学習実態から見る高校教育の実態
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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 まとめ

 以上、小・中・高生の学習に関する意識・取り組みの実態について、データを基に整理した。それらを踏まえると、高校では指導上どのような工夫が求められるのか。この点を整理し、まとめに代えたい。
  まず指摘できるのは、中学校段階で「学習意欲の減退」「学習目的の悩み」「学習方法での戸惑い」といった「つまずき」を経験した生徒へのフォローの重要性だ。図6から明らかなように、こうした「つまずき」は、適切なフォローを欠くと高校入学以降も引きずりやすい。近年、学力の二極分化が高校でも問題視されるようになっているが、高校入学後のできるだけ早い段階で生徒把握に努めることが対策の第一歩だろう。
  既に多くの学校では、入学直後の担任面談や合宿を実施しているが、今後は、現在の学力や生活習慣はもちろん、入学以前の生徒の「学習履歴」の把握に努めることが求められると言えるだろう。
  一方、高校段階で生徒を伸ばすためには、何より「内発的な動機に基づいた学習」が必要なことが、データから明らかになったのではないだろうか。中でも図10により、どの学校層においても、この原則があてはまることが示された意味は大きい。高校導入期においては、生徒に学習を促す仕掛けとして、「友人との競争」、あるいは「クラスの雰囲気づくり」といった働きかけが広く用いられているが、そうした手法だけで3年間生徒を引っ張り続けるのには限界があることを、同データは示している。
  したがって、進路学習等を通じて生徒の内面に訴えかけるアプローチは、どの学校層においても普遍性を持つと考えられる。むしろ問題なのは、生徒の精神的な発達段階を踏まえ、どのタイミングでそうした動機づけの手法を採り入れるかにあるのではなかろうか。生徒の内面把握を今以上に精緻化し、個に応じた指導、下位層のフォローアップの手法を見直すことが求められている。


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