特集 入試改革を読み解く
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分離・分割方式とセンター試験が議論の焦点

飯塚 明かせる範囲で構いませんが、国大協の内部では、現在、どのような改革案が議論されているのでしょうか? 言い換えれば、現行制度のどこに問題があるか、ということになりますが…。

荒井
 私なりの把握ですが、大きなテーマとして議論されているのは次の二つです。
  まず一つは、受験機会、合格機会の拡充についてです。ご存知のように、現在の分離・分割方式は、事実上の前期シフトになっており、受験生にとっては「一発勝負」の色合いが強いのが現状です。また、優秀な学生を確保したい大学側からは、複数合格制の導入を求める声が上がっています。ただし、先にお話した通り、分離・分割方式という枠組み自体については、今後もしばらくは維持される方針です。したがって、議論の焦点となるのは、前・後期の募集定員の柔軟化を認める条件の整備や、推薦・AO入試の募集定員の拡大をどこまで認めるか、といった部分になろうかと思います。かつての連続方式のように、「合格機会」を複数化するかどうかについては、まだ内部でも意見が分かれています。
  二つ目は、センター試験の在り方です。現在のセンター試験は、2単位科目と4単位科目が同列に扱われていたり、受験者数が異なる科目の得点が同列に比較されていたりと、大学入試の「選抜資料」とするには、かなり問題の多いテストです。また、マークシート式という手法の限界から、必ずしも正確な学力が得点に反映されているとは言えません。しかも、そうしたテストが、事実上の「選抜試験」として機能していることに、多くの大学関係者が頭を悩ませています。センター試験を、きちんとした選抜試験として位置付け直すのか、あるいは、高校の卒業資格取得試験のような性格のテストに改めるのか、今一度根本から議論し直す必要を感じています。

飯塚
 センター試験を「資格試験」的なテストに改める、という見解は00年の大学審議会の答申でも打ち出されていましたね。

荒井
 大学審議会の答申で出た「資格試験化」とは、あくまでも利用形態を資格試験化しようという話であって、試験の在り方や作問方針については深く言及していません。しかし、今後の国大協の議論においては、そもそもの位置付けにまで遡って、議論が進められると思います。

飯塚
 先生の個人的なお考えとして、センター試験をどのように見直すべきとお考えですか?

荒井
 私としては、学力選抜は大学の個別学力試験でしっかり行うことにして、センター試験は高校の学習内容の定着度を、到達度評価で計測するテストにすべきだと思います。どちらかといえば、高校の卒業資格試験のような形が望ましいのではないかと思います。

飯塚
 それはなぜでしょうか?

荒井
 一番大きいのは、現在の高校の調査書が、学力保証の機能を果たし切れていないことです。大学入試に際しては、調査書の評定が「選抜資料」として利用されていますが、同じ「5」という評定でも、生徒の出身校によって実際の学力は異なるのが現状です。センター試験にきちんとした学力証明の機能を持たせることができれば、大学側も信頼に足る選抜資料を得られます。正確な学力を計測し切れない現在のセンター試験よりは、はるかにメリットの大きい試験になると考えます。

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