特集 入試改革を読み解く
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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1 今後の入試の検討状況と改革の背景について

ほとんどの大学が 未だ「検討中」

 まず、各大学が今後の入試の在り方について、どの程度検討を進めているのかを確認したい。
  図1は、07年度以降の入試改革の検討状況についてまとめたものであるが、「現在検討中」と答えている学部が7割近くを占めることが分かる。これに対し、「既に決定」「変更なし」としている学部はそれぞれ12.8%と8.6%にとどまり、高校現場にとっては、まだ今後の方向が見えにくい状況を示している。
  しかし、「全く議論は行っていない」という回答が7.5%にとどまっていることからも分かる通り、大学側は、必ずしも入試改革自体に消極的なわけではない。そこで、学部系統別や入試難易度別などの観点で分析したところ、かなりはっきりとした方向性をうかがうことができた。

▼図1

図1

入試難易度により 「改革の背景」は異なる

 次に、各大学が入試改革を行う理由・背景を見てみたい(図2)。まず、学部系統別に見てみると、特に医歯薬保健系の学部で、「大学の理念、アドミッションポリシーに則って」といった理念重視の改革を志向する傾向が顕著である。これに対し、理工農系では「受験者数の確保」が最も大きな改革の背景となっている。近年の医療系人気を背景に、理念重視の改革を志向する医歯薬保健系と、「理科離れ」を考慮せざるを得ない理工農系の事情が読み取れる。
  一方、入試難易度別で見ると、難関大では「入試業務の軽減」が、偏差値58未満の大学では「受験者数の確保」が改革の背景となっている。受験者の集中する大学とそうでない大学の格差が広がりつつある状況を示していると言えよう。

▼図2

図2

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