特集 入試改革を読み解く
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5 個別学力試験で大学が計測したい「学力」

学部系統によって求める力にも差が生じる

 図6に示したのは、個別学力試験で各大学が計測したい学力と、入試問題の内容についてたずねた結果である。
  まず学部系統別に見た場合に注目されるのは、医歯薬保健系では「教科別の知識理解」「教科学力」が、総合系では「資質・能力重視型」志向が顕著な点である。
  こうした傾向は入試問題の内容にも反映されており、医歯薬保健系では「3・4教科試験」「理・社融合問題」を重視する傾向が、総合系では、「理・社融合問題」や「総合問題・小論文」「作文・面接」などを重視する傾向が目立っている。今後、アドミッションポリシーに対応して、これらの学部系統では推薦・AO入試の定員拡大や総合問題の実施が展開されていくのではないだろうか。


▼図6 クリックすると拡大します
図6

推薦・AO入試を地方大クラスは特に重視

 一方、入試難易度の観点で見た場合にも、問われる「学力」にかなりの違いがあることが読み取れる。教科学力重視の志向が強い難関大に対し、偏差値48前後の大学では、資質・能力重視の入試を志向する傾向が強い。
  実際、受験生の学力低下の影響もあり、地方大クラスの大学では従来型の学力選抜だけでは、求める人材を確保できないという問題が深刻化している。データと合わせて考えると、これらの大学では、「入学時に持っている学力」だけでなく、「入学後の伸び」が確実に期待できる人材を獲得しようとしているのではないだろうか。総合問題や小論文を取り入れた丁寧な選抜を通じて、ポテンシャルの高い人材を見極める方向に、入試もシフトしていくものと思われる。


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