特集 入試改革を読み解く
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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7 大学人の求める「学力」とのギャップ

表現力、思考力に高大のギャップが存在

 最後に、「大学人が求める学力」と高校生の実際の学力に、どれだけのギャップがあるのかを確認したい。
  図8は、図7で示した各カリキュラム要素を横軸にとり、縦軸に、それぞれの要素に対する「大学人要求度」「大学生必要度」「高2生習得度」をとったものである。大学生必要度は、大学1年生が大学入学後に「必要だ」と感じる度合いを、「高2生習得度」は、現役高2生が、各カリキュラム要素をどれだけ習得しているかを自己申告した値である。
  一見して分かるのは、「表現力」「思考力」に関わる項目で、特に大学人と高校生のギャップが大きくなっていることだ。特に「プレゼン」「考えの説明」「論理的思考」といった項目でのギャップは大きく、大学人の要求度との間には40ポイント前後もの開きがある。
  また、全体的にギャップの小さいように見える「基礎学力」の区分でも「文章要約」に関しては大きなギャップを示している。資料読解やレポート作成など、大学教育の根幹に関わる要素だけに、高校段階での一層の工夫が求められると言えるだろう。

▼図8 クリックすると拡大します
図8

日常の授業に表現活動の機会を

 大学人の要求度とのギャップが大きかったこれらの項目は、大学生自身も高い必要度を感じている項目である。高校現場でこれらの力を伸ばしていくことは、高大接続を考えた場合に不可避の課題と言える。「総合的な学習の時間」等の活用はもちろん、短い時間でもよいので、普段の授業の中に、できるだけ表現活動や考える活動を採り入れていくことが求められる。


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