05年3月、京都大は07年度入試より後期日程を廃止する方針を発表し、京都大の動向を注視していた多くの大学関係者を驚かせた。推薦・AO入試を実施せずに後期日程を廃止することに、国大協から「物言い」が付いたことは、巻頭対談でも指摘されている通りである。しかし、「後期日程廃止」という決定を下すまでに、京都大がじっくりと時間をかけて学内で検討を行ってきたこと、更に学内のみならず、学外の声も反映して改革を進めてきたことは確かだ。また、アドミッションポリシーに基づく前期日程の入試科目変更といった改革の諸相も見落とすべきではないだろう。そこで、まず京都大においてどのような経緯で入試改革が進められてきたのかを確認したい。
京都大で入試改革についての具体的な準備が始められたのは01年度のこと。入試改革の方向性を見いだすべく、アドミッションポリシーに基づく入試がどれほど実現できているか自己点検・評価するため、学内の教職員や各学部長、在学生(1年生)の他、京都大在学生の出身高校までを対象とした意識調査が行われた(図1)。また、これと並行して、03年度には尾池和夫副学長(現総長)を座長とする「入試制度検討ワーキンググループ」が発足。個別学力試験の方法、入学定員などの入試に関することから、入学後の教育の在り方まで幅広い議論が行われた。そして、04年度に「入学者選抜方法研究委員会」で、これら意識調査の結果とワーキンググループの報告書を基に、07年度以降の入試についての検討がなされたのである。
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