これらの検討の過程で、大きな争点となったのが後期日程の在り方である。と言うのも、01年度に行われた意識調査により、後期日程の在り方に対する意識が学内と学外では大きく違っていることが浮き彫りになったからである。京都大大学院情報学研究科の磯祐介教授は次のように述べる。
「元々、後期日程は国数英理社のいわゆる5教科の学科試験では測れない多様な資質を持った優秀な人材を入学させることを目的としています。本学もこの趣旨に則って、小論文や面接など前期日程とは異なるタイプの入試を行ってきました。しかし、意識調査に現れる高校側の意見としては、前期日程同様の学科試験を後期でも課してほしいという意見も強かったのです。つまり、体調不良などで前期日程で実力を発揮できなかった生徒に対する救済の役割を求めているわけですね。多様な人材を採るために違うタイプの入試を実施しているという大学側の理念に、高校側ではそれほど価値を置いていないということが分かったのです」
実際、京都大の後期日程志願者に占める前期・後期の併願率は、約73%と他の国立大同様に高い。本来の理念に反して、後期日程が前期日程の「敗者復活戦」の様相を呈していることは否めないようだ。
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