加えて、後期日程で合格した学生と前期日程で合格した学生の質に「違いがない」ことも、後期日程の継続に疑問符を付けたようだ。
「学内の教員を対象としたアンケートの結果、前期では採れなかった特異な才能を持った学生が、後期日程によって、必ずしも採れていないということが分かりました。学力においてそれほど違いがないのなら、多大な労力をかけて後期日程を実施する意味はあるのかという疑問が当然わいてくるわけです。本学のように規模の大きい大学になると、例えば数学なら、前後期それぞれで文系5題、理系6題の計22題を作問しなくてはいけません。これだけの作問をノーミスで準備するのは大変な労力ですし、入試ミスが大きな社会問題になっているときだけにリスクもあります。それなら、後期日程の作問に割いていた労力を、前期日程試験や教育面の充実などに振り向けた方が得策ではないかという判断もあったのです」(磯教授)
ただし、推薦・AO入試を実施しないままで後期日程を廃止するのは、受験機会を削ぐことになるのではないかという意見があるのも事実だ。これについて磯教授は「受験機会が減るということと、合格する確率は違う」と述べる。
「従来の前期日程・後期日程は決められた定員を二つに分けているにすぎません。後期日程を廃止しても、その分の定員が前期に上乗せされるだけですから合格可能性はほとんど変わりません。むしろ、併願率の高さを考えると、後期日程の実施は合格するチャンスが増えないまま、受験料を払う機会だけ増やしていることになるため、受験生への経済的な負担も軽減されるのではないでしょうか」
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