特集 入試改革を読み解く
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アドミッションポリシーに基づいた入試科目

 後期日程の廃止ばかりが注目される京都大の入試改革だが、前期日程の試験科目についても見直しを図っていることを見逃してはならないだろう。今回、前期日程の入試科目を再考する上で各学部がまず行ったのは、アドミッションポリシーの具体的な実現に加えて、他大学との試験科目の比較だ。
  「例えば、理学部を狙う学生なら、京都大を受けるか、東京大を受けるかといった目標をある程度早い時期から絞り込みますが、法学部などでは出願直前まで受ける大学を絞り込まないなど、学部によって志望大を決定するまでの時期や段階が異なります。そのため、受験生が勉強に集中できるよう、同レベルの大学・学部と大幅に入試科目の相違がないように入試科目を配慮しました」
  ただし、他大学の動向を加味したとは言え、各学部のアドミッションポリシーに基づいた入試科目の変更であったことは言うまでもない。例えば、工学部地球工学科では、センター試験で生物を選択可能にすると共に、個別試験で生物と地学を選択できるようにした。また、教育学部の文系では、地歴に関して、センター試験でも個別試験でも同じ科目を選択できるように変更している。
  「地球工学科の学問分野には土木工学や環境工学などが含まれていますが、大学進学後の学びをスムーズにするには、従来の物理や化学だけではなく、生物や地学の知識も必要になります。一方、物理工学科や電気電子工学科では、理科4科目の幅広い素養ももちろん大事ですが、より深い物理学の知識が大切です。他大学の動向を考慮すると共に、本学のアドミッションポリシーに応じた最適な入試科目を配置したのです」(磯教授)
  入試科目こそが、学生にとって最も分かりやすい大学・学部のアドミッションポリシーの表明であるというわけだ。


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