全国的に後期廃止・前期拡充に動く大学が多い中、和歌山大システム工学部では、あえて後期日程を拡充する道を選択した。システム工学部の前・後期の定員配分の比率は、05年度入試で35:15であったが、06年度入試では30:20となる。原田利宣教授は、この決断に至った背景を次のように語る。
「『旧二期校』という評価がどうしても付いてまわる本学の場合、前期一本化という土俵に乗ることは、かえって大学のプレゼンスの低下につながる恐れがあると考えました。それよりはむしろ、推薦・前期・後期と複数の入試機会を積極的に維持した方が、資質の高い学生を獲得するのに有利だと考えたのです」
その狙いは、後期日程の試験科目を改めたことに端的に示されている。すなわちシステム工学部では、光メカトロニクス学科、精密物質学科の2学科について、従来の総合問題に代えて面接、及びプレゼンテーションを課すことにしたのだ。鯵坂恒夫教授はその狙いを次のように説明する。
「本学部では単に学力があるだけの生徒を後期日程で獲得しようとは考えていません。むしろ、高い学力に加え、学問に対する興味・関心や、論理的な思考力など、ペーパーテストだけでは判定できない能力を持った学生を、後期試験では獲得したいと考えています。試験の詳細は検討中ですが、面接やプレゼンテーションの内容については、一定時間で問題を解かせ、解答に至った背景を口頭試問で確認するなど、論理的な思考力や表現力を問うものにする予定です」
一般的に、大学関係者の負担増から敬遠される傾向にある後期日程だが、システム工学部ではその労をあえて取ることで、能力の高い学生を選抜することを目指しているのだ。
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