大学改革の行方 「理科離れ」に挑む理学部の改革

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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学科選択を工夫しミスマッチを防ぐ

 高校生に対して積極的なPR戦略を展開している理学部だが、依然として、学部内容を把握しないまま入学してくる学生は多いようだ。図2は各学部系統のイメージギャップを弊社が調べたものだが、これを見ると、理学部は「学習内容ミスマッチ」の度合いが全系統の中で最も高いことが分かる。新潟大・谷本教授も「本学にもミスマッチを起こして悩んでいる学生は少なくありません。現在は1年次から専門科目を多く履修させる学科もあるので転科は容易ではありませんが、別の学科にスムーズに転科できるシステムがあれば望ましいと思います」と述べる。早期に学科を限定することはなるべく避けて、じっくりと学生が学科選択できる余裕を持たせることが、学部・学科ミスマッチを防ぐ方法の一つだと考える大学関係者は少なくないようだ。

▼図2 クリックすると拡大します

図2

  北海道大が学科の選択方法・時期を06年度から大きく変更するのも、そうしたミスマッチを防ぐのが最大の目的である。これまで、同大では入学時は数理系・物理系・化学系・生物系の4系で募集し、2年次以降に本人の志望と成績を考慮して各学科へ配属することになっていた。それを、06年度からは理学部一括募集に変更し、2年次前期まで理学部共通の科目を履修させ、後期から各学科へ配属することにしたのである。
  「高校生の段階から将来の進路を決めるのは、多くの生徒にとって難しいことだと思います。06年度からは、入学後1年半の間に、自然科学の共通の基礎を学びながら、全学科の教員と接する機会を増やし、自分に本当に向いている学科はどこなのかを、学生がじっくりと決められるようにしました。また、できるだけ多くの学生の希望を受け入れられるよう、各学科の定員は±10%の幅を持たせて、フレキシブルに配属できるようにするつもりです」(北海道大・岡田教授)
  このシステムに決まるまでは、学部内でかなり時間をかけた話し合いが持たれた。早い時期から実験・実習を始めたい学科では、むしろ学科単位の募集を望んだ。また、大学院教育を重視する教員からは、博士課程までを含めて9年間の教育と考え、3年ずつに分けてもよいのではないかという大胆な案まで出されたという。しかし、学生のニーズを考えると、いずれも現実的な案ではなかったようだ。
  北海道大が地域の高校生に対して行ったアンケートによると、高度な免許取得を目指す医学部や獣医学部などの志望者以外は、大学へ入ってから進路を決めたいという学生が圧倒的に多かったという。教える側の利点よりも学生のニーズを優先する、現在の大学のスタンスを示していると言えよう。
 


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