大学改革の行方 「理科離れ」に挑む理学部の改革
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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履修履歴の多様化への対応が授業改善のカギ

 ところで、理学部の認知度向上や学習内容のミスマッチ解消の他に、理学部の抱える大きな課題がもう一つある。それは、高校における履修履歴の多様化と、学生の学力低下への対応である。北海道大が学部共通教育を導入すると共に、カリキュラムの改訂を行ったのもそのためだ。
  「理学部に入学してくる学生でも、高校で物理や化学を習っていない学生は多いんです。特に、高校生の物理の履修率が落ちていることで、物理学の教員の危機感は大きいですね。もちろん、高校3年間を新課程で過ごした学生が入学してくる『06年問題』への対応も大きな課題であることは言うまでもありません」(北海道大・山口教授)
  新潟大理学部では、04年に教育改善検討委員会を発足し、学部レベルの様々な改革を推進してきたが、これも北海道大と同様の危機感による。中でも、05年度から始まった「自然系共通専門基礎科目」は、新潟大理学部のカリキュラム改革の目玉の一つだ。
  「学生の学力低下が年々進行する一方で、社会は大学に、広い視野と知識及び応用力を持った人材育成を要請しています。現在、理学部卒業者には物理や化学、生物といった学問分野の枠を越えた、幅広い知見が必要です。そのため、『自然系共通専門基礎科目』では、理学部のすべての学生に、理学部卒業生にふさわしい数学と理科の基礎的な素養を身に付けられると同時に、高校で履修していない科目についても学べるようにカリキュラムを工夫しているのです」(新潟大・谷本教授)
  また、個々の学生の高校での履修履歴や、学習定着度を把握する役目を果たしているのが、同じく04年度に始まった「○○学習法」(○○には学科名が入る)である。学科ごとに教科書の使い方やノートの取り方などの「大学での学び方」を身に付けさせる導入期科目だが、少人数によるゼミ形式の授業も行うため、それぞれの学生について、どのような学力が不足しているのかを把握できる。
  更に、新潟大では中長期の視野に立った授業改善のグランドデザインも描きつつある。
  「これまで、学部の教育目標というと、『基礎科学を修得し、世界に貢献できる人材を育てる』といった漠然としたものがほとんどでした。しかし、今後はできるだけ達成目標を具体化し、どうすればそれを実現できるのかということを、一つひとつの科目と関連付けながら示していく必要があると思います」(新潟大・谷本教授)


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