指導変革の軌跡 岐阜県・私立高山西高校「進学実績向上」

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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家庭学習習慣の確立を「復習ノート」で図る

 「指導困難校」から脱却した高山西高校は、「きちんと生徒を指導してくれる学校」として見直されるようになった。しかし、改革はそれで終わったわけではない。「進学校への脱皮」というもう一つのミッションが道半ばだったからだ。
  「三角に角張った人格を丸い人格にするのには、『角を削り内接円を作る』方法と『辺にふくらみを持たせ、外接円を作る方法』の2通りがあります。それまで本校は前者の方法を採ってきましたが、10年ほど前から後者へのシフトを始めました」(小林教頭)
  現在、進路指導部長を務める川上千敏先生が赴任したのは、ちょうどそんな時期に当たる。
  「赴任しての第一印象は、『しっかりしているけど、おとなしい生徒が多いなぁ』ということ。もうちょっと授業にかじりつく覇気が欲しいと思いました」
  そこで、まず川上先生が担当教科の物理で始めたのが、課題の量を増やし、家庭学習の習慣を付けること。それまで高山西高校は、「学校でできるだけ勉強させる」という方針で授業を組み立てていたが、それがかえって、生徒の一定以上の学力伸長を妨げていた。
  「補習授業に力を入れすぎたあまり、生徒の間に『学校であれだけやったから十分だろう』という意識が生まれていたんです。自分で工夫しながら家庭学習に取り組むスタイルに転換させることが、学力伸長を図る上で必要だと考えました」(川上先生)
  更に、川上先生は、単に課題の量を増やすだけではなく、生徒がどれだけ家庭学習に打ち込んでいるのかを毎日チェックすることにも着手した。それが、図1に示した、「復習ノート」を使った指導だ。
図1 復習ノート
図1
▲ 高山西高校では、生徒の自学自習にインセンティブを与えるために、自習で使っているノートを毎日提出させている。生徒同士が内容を見せ合うことで、こなす課題の量・質の向上が図られていく。
  「『復習ノート』と銘打ってはいますが、やっていることは『家庭で授業の復習をするときに使ったノートを毎日提出させる』というそれだけのことなんですよ。解く問題は教科書の例題が中心ですが、どの問題を選ぶかや、ノートの使い方については『最低2ページ埋めてくる』という以外、一切条件は付けていません。とにかく『毎日一定量の家庭学習をする』という習慣付けをすることが、この取り組みの狙いなんです」(川上先生)
  だが、この指導の効果はそれだけにとどまらない。毎日ノートを提出させるうちに、生徒たちの学習の量・質が目に見えて向上していったのである。同じくこの指導を実践する横田匡司先生は、その秘密を次のように説明する。
  「例えば、自分がノートを縦に2列に分けて使っているのに、隣の友達が3列に分けてより多くの問題をこなしていたら、普通は悔しくなりますよね。最初は自分のペースでやっていた生徒も、そのうち釣られて問題量を増やしてきます。解いている問題の質にしても同じことが言えます。いい意味で生徒同士が競争モードに入ると、最初は簡単な問題ばかり解いていた生徒も、自然についてこざるを得なくなるんです。現在では、英語・数学・理科の3教科で、同様の指導を行っています」


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