VIEW'S REPORT 学習計画・学習記録で自学自習力を付ける
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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「学習計画表」は生徒の「問診票」

 計画の次は実行である。計画通りに実行した項目には斜線や×印などを付けて埋めていき、右端の「時間」の欄に、その日に実際に勉強した時間を記入させる。ここで興味深いのは、その日の学習時間の横に、その週の累積の時間数もカッコ書きで記していくことである。進路指導部長の近藤健先生は、その意図を次のように述べる。
  「例えば、1年次の夏期休暇では150時間という目標時間を設定し、それを必ず達成させるように指導しています。これを達成するには、だいたい1日4~5時間勉強すればいいわけですが、1、2日さぼってしまえば、それを取り返すには他の日に6時間、7時間しなければ追いつきませんよね。案外、生徒はそういうところに無頓着で、自分はやっているつもりでも、累積を見ると実際は150時間に達していなかったということはよくあるんです。累積を記すことで、150時間学習するということはどういうことかを、具体的に実感させるのが狙いです」
  こうして記入させた「学習計画表」を基に、教師は面談を通して、教科のバランスは取れているか、時間は確保できているか、時期に応じたテキストを使っているかといったことをチェックしていく。川越高校では、3年次だけで8~9回の面談を実施している。当然、志望校決定に関する面談も含まれているが、ほとんどは「学習計画表」を見ながら、家庭学習がきちんとできているかどうかをチェックするためのものだという。森本先生は「『学習計画表』は教師が生徒を見るときの『問診票』や『カルテ』のようなもの」と述べる。
  「教師は『学習計画表』の中の学習時間の実績や自己評価の欄を見て、この生徒は今どんな調子なのかを把握しています。例えば、単に成績が伸びないと生徒が言っても、実は受験や社会参加に対する不安や恐れが潜んでいる場合もある。そういうことが『学習計画表』を基に面談をすることで分かってくることもあるんです」
  計画はしっかりと立てられているが学習時間が少ない、あるいは、計画を立てる時点で学習量を過大に見積もっている、そうした計画と実行の齟齬を面談でチェックし、次の計画→学習へとつなげていくのである。


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