真のリーダー育成を目指して 成功のキャリアパスは自分でつくる時代
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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グローバル社会で求められる戦略性・論理性・情緒性

――グローバル社会で求められる人材には、今後どのような力が求められるのでしょうか。

  「戦略性」「論理性」「情緒性」の三つがあると思います。
  まずは全体を見る「戦略性」。会社としては一つひとつの部分を見るのではなくて、トータルを見渡すことです。例えば市場全体を把握した上で、自分の会社の競合はどこか、競合会社と比べて自分の会社の強み、弱みはどこか、それを踏まえた事業戦略の方向はどこか、その方向性は正しいかという見方ができる力です。それには、情報の分析力も必要です。
  もう一つは「論理性」。いろいろな国の人たちと仕事をする上で大切なのは、誰にでも分かるように説明ができることです。言葉や文化の違いを越えても分かり合える話し方は、事実をベースにしてその上に論理的に積み上げていくことです。例えば、社長の話を聞くときにも、頭の中でいろいろシミュレーションしてみるんです。要点を整理しながら聞けば、後で内容を人に説明することができるし、自分の意見を持ちながら聞けば、いきなり意見を求められたときも答えることができます。そういう訓練を積めば、いずれ思考の幅が広がっていきます。
  最後が「情緒性」。これは一見、前の二つの力と逆説的に見えますが、人の気持ちを理解する力、そして相手の立場に立って考えられる力です。ビジネスでは、自分一人で仕事はできませんから、セールスでも何でも相手がどう思うか、相手の立場だったらどうするかを想像する力、つまり気配りや気働きが大切なのですが、意外と今の若い人には欠けているのではないかと思っています。単純な例で、向こうから人が歩いてきても避けない人がいますね。これは相手のことを見て行動していれば、人間の基本として起こらないはずなんです。友達同士でいじめを避けるためには非常にセンシティブだと思いますが、知らない他人に対する気配りは足りないように感じます。


――これまで日本企業で多く見られた「事なかれ主義」や「横並び主義」の修正が迫られているわけですね。

  そうですね。これまで日本の企業が醸成してきた「優秀な良い社員」と言われる人たちの資質と、今、日本企業が必要としている「グローバルに動ける人材」の資質との間には、ギャップが出てきていることは確かです。以前の「優秀な良い社員」というのは、組織の一部として動ける「企業戦士」でした。つまり、70年代から80年代にかけては組織としてまとまれる均一な強い人材をつくることが成功の鍵だったわけです。事実日本を成功に導いたのはそうした人材でした。でも今は、どこに行っても問題解決がきちっとできるように、多様な価値観をまとめていける人材が求められています。そのために、戦略性・論理性・情緒性の力が必要になってくるのです。


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