指導変革の軌跡 愛知県立豊田南高校「中高連携」
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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中学校教師の講演会で中学校指導の実態を探る

 中学校の実態を知るためには、絶対評価はもちろん、02年度から始まった学校週5日制や新課程の導入に伴う授業時間・教育内容の削減など、中学校教育の複合的な変化を早急に把握する必要があった。
  そこで豊田南高校がまず行ったのは、中学校の教師を講師としての講演会だった。まず、04年6月に、絶対評価の具体的な評価方法をテーマに開催。これにより、「現場を受け持つ教師たちが漠然と感じていた生徒の姿が浮き彫りになった」と、神谷政和先生は述べる。
  「調査書の評定と実際の学力のギャップの謎が解けました。中学校では関心・意欲・態度も大きな評価指標の一つです。知識・理解以外のこうした観点による評価を積極的に行っているため高校側でイメージしている「学力」とのギャップがあるのです。基礎的な知識の習得を求める我々とは、そもそも評価のポイントが違うのだということが分かったのは大きな成果でした」
  また、04年12月には、中学校における生活指導の実態をテーマとした講演会が持たれた。豊田南高校の生活指導は伝統的に厳しい。そうした指導スタイルと、中学校の生活指導の実態が乖離していないことを、この講演により確認することができた意義は大きかった。
  こうした成果を受け、05年7月と10月の講演会では、更に踏み込んだ内容の講演会が持たれた。前もって豊田南高校の教師たちに、中学校側に聞きたい項目についてアンケートを取り、その質問(図1)に答えてもらうという形を取ったのだ。研修部の藤嶋正人先生は、次のように述べる。
  「『敬語を使えない生徒が多いのはなぜか』『塾の学習指導に本当に頼らざるを得ないのか』といった踏み込んだ質問も出ましたが、それはそのまま中学校へ伝えました。現場の先生方の疑問を直にぶつけることで、内容のぶれのない講演会ができると共に、我々の熱意も中学校の先生方に伝わったのではないかと思います」

▼図1

図1

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