ベル学園高校は看護科、衛生看護科、総合福祉科(介護福祉・生活福祉・保育の各コース)の3つの専門科を擁する私立高校である。「福祉の学園」として長い実績を誇るベル学園高校では、看護師や介護福祉士の受験資格、ホームヘルパー資格など人気の高い資格が取得できるとあって、生徒募集で苦しんでいる地方の私立高校がある中で、毎年定員を確保し続けている。
もっとも、一見盤石に見えるベル学園高校だが、状況は決して甘くはない。最大の課題は、資格の在り方が変化しつつあることだ。ベル学園高校校長の平山武茂先生は「看護や福祉に関する専門的な知識・技能が、どんどん大学・短大に移行されて、高校での取得が制限されてきている」と指摘する。
かつて、ベル学園高校で取得できた保育士資格は、96年から短大・専門学校以上でしか取得できなくなった。現在、総合福祉科で取得できるホームヘルパー資格も廃止が検討されており、より高度な介護福祉士国家資格に一本化される動きがある。また、准看護師の資格は衛生看護科で取得できるが、これも将来的には縮小される流れにあるという。将来の職業に結び付く資格が取得できることが、定員確保の大きな原動力になってきたが、最大のセールスポイントが脅かされ始めているのである。
また、生徒のモチベーションの問題もある。資格取得を目指して入学してくるとは言え、資格や職業の内容をしっかりと把握して入学してくる生徒はそれほど多くはないのも現実だ。学力的な問題でやむを得ず入学するという生徒もいる。
ともすれば途切れがちな生徒のやる気をいかに持続させるか、生徒に目指させるべき資格がなくなった時、生徒のモチベーションを喚起させるにはどうすればよいのか。ベル学園高校の変革の諸相を追ってみたい。
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