取得資格がなくなる――。この、最も厳しい状況に直面したのが総合福祉科保育コースだ。保育コース主任の長瀬眞由美先生は、次のように振り返る。
「保育士資格の取得が大学・短大・専門学校に繰り上げられたため、保育士を目指す生徒は上級学校へ進学しなくてはならなくなりました。しかし、将来大学や短大を目指そうとしても、普通科の生徒には学力で太刀打ちすることはできません。普通科の生徒に負けないだけの自信を付けさせるにはどうすればいいのかということを考えた末に立ち上げたのが『ももたろう劇場』だったのです」
「ももたろう劇場」は、地域の子どもたちを招いて人形劇やオペレッタの公演を行うもので、毎年春と秋の2回開催、例年1500名近い観客動員数を誇る保育コースの中心的な取り組みだ(図1)。「児童文化」や「造形」「音楽」など保育コースの各教科の要素を取り入れ、「保育版」総合学習といえる教科横断的な取り組みとしている点が特徴である。
|