普通科、産業技術科Iを擁する粕屋高校が、福岡魁誠高校として再スタートを切ったのは03年度のことだった。直接的なきっかけは、福岡県が進める高校再編整備事業の対象となったことだったが、福岡魁誠高校の教師たちはこの改革を自らの課題として受け取った。教務主任の岩崎治弘先生は、その事情を次のように語る。
「学力による高校の序列化の中で、本校は『学力が合うから』『親や先生に勧められて』といった理由で入学してくる生徒が多く、学習活動や進路指導でモチベーションが高まらない状況がありました。総合学科への改編を機に、目的意識が明確な生徒を獲得すると共に、入学した生徒が、人生を自ら考えて決めていけるような学校にしたいという思いがありました」
そんなビジョンがあっただけに、総合学科への改編に当たっては、できるだけその理念に忠実なグランドデザインが描かれた。進学重点化、あるいは、事実上のコース制の導入といった声は、福岡魁誠高校では聞かれなかったという。「中教審が示した総合学科本来の姿を目指した」と語るのは3年次主任の安河内徹先生である。
「大学進学者数、あるいは就職者数といった『数で勝負する』学校ではなく、あくまでも生徒一人ひとりの志望実現に軸足を置いた学校にしようという思いがありました。個性豊かな生徒たちが、学びたいことをきちんと学べる、という点を学校の特色として打ち出したかったんです」
では、このような理念を、福岡魁誠高校はどのように実現しようとしているのだろうか。以下でそのポイントを見てみよう。
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