「総合学科の原点に忠実な学校運営」という理念に照らし、福岡魁誠高校では、生徒の希望に沿ったカリキュラム設定を徹底して追求している。すなわち、基礎的な学力を育成するため、ほとんどのコマを必修科目としている1年次は例外として、2、3年次のカリキュラムについては、毎年全くのゼロベースから組み直しているのである。
「多くの総合学科では、配置されている教師の担当教科の範囲内で次年度の開設科目を設定しています。そのため、教師の配置状況によっては、開設できない科目が最初からできてしまうこともないわけではありません。しかし本校では、最初は何の縛りもなしに、まず生徒の選択希望科目を調査してから、次年度のカリキュラムを組むんです。当然、生徒の希望状況によっては、今いる教員だけでは教えられない教科が出てくることもありますが、そうした場合には校長に適切な人員配置を県教委にお願いしてもらい、生徒の希望をかなえるよう努力しています」(岩崎先生)
就職志望者から4年制大進学志望者まで、多様な生徒を抱える福岡魁誠高校だけに、最初に提示される開設科目数は150を超える。それを生徒の希望に応じて適宜選別し、生徒が履修しやすい曜日や時間帯に配置していく作業量は並大抵ではない。だが、それでも福岡魁誠高校の教師たちはこの労をいとわない。進路指導主事の寺本真一先生は、その点について次のように考えている。
「何事においても、『自分で選んで決める』という行為は、生徒の人間的な成長にとって非常に有意義なことだと考えています。本校では、修学旅行や生徒会運営などでも、できるだけ生徒に決めさせる部分を多く設けているのですが、カリキュラムはその中でも要となるものだと思います。自ら人生を選び取っていく力を、カリキュラム決定を通じて磨いてほしいですね」
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