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富山県立富山高校
約120年もの歴史を持つ伝統校。1968年の理数科設置など、常に富山県における高校教育を先導する役割を担ってきた。山岳部や陸上部、剣道部といった運動部ばかりでなく、自然科学部や将棋部、放送部など文化部の全国大会での躍進も目立つ。
設立 1885年(明治18年)
形態 全日制・共学
生徒数(1学年) 約280名(全日制1学年・理数科1クラス)
04年度入試実績 国公立大には北海道大26名、東北大12名、東京大2名、お茶の水女子大5名、金沢大36名、名古屋大13名、京都大6名、大阪大9名など222名。私立大には慶應義塾大19名、早稲田大19名、同志社大16名、立命館大36名など延べ348名。
住所 富山県富山市太郎丸1
電話 076(421)2925
URL http://www.tym.ed.jp/sc331/
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富山県立富山高校教頭
筒井慎一
Tsutsui Shinichi
教職歴29年。同校に赴任して18年目。担当教科は数学。「分かりやすい授業と質問に来やすい姿勢を通して、意欲的な生徒を育成したいと思っています」 |
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富山県立富山高校教頭
清水稔
Shimizu Minoru
教職歴24年。同校に赴任して14年目。担当教科は生物。「安易に人に頼らず、自分の力で考え、行動しようと努力する姿勢を大切にしていきたいと考えています」 |
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富山県立富山高校
松本司朗
Matsumoto Shiro
教職歴24年。同校に赴任して10年目。理数科主任、SSH担当。担当教科は生物。「正しく、そして前向きに物事を考え、自律的に行動できる能力を育てていきたい」 |
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SSH指定校レポート 富山県立富山高校 |
複数の教科をリンクさせ、段階的に科学的素養を身に付ける |
学校における位置付け 学習環境の変化の中で改革の新たな起爆剤に |
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日本で初めて理数科が設置された高校の一つである富山県立富山高校。30余年の理数科の歴史を振り返り、筒井慎一教頭は次のように総括する。
「誤解を恐れずに言えば、理数科は日本の高校教育の歴史の中でエリート養成を目的にスタートしたものでした。しかし、学習意欲の非常に高い優秀な集団であった理数科も、年月が経つにつれ、少しずつ変化してきました。改めて理数科としての原点に立ち戻るべき時期が来ていたと思います。また、学校全体の課題として生徒の家庭学習時間も10年、20年のスパンで見ると明らかに減少していました。このまま更に10年、20年経つとどうなるのか。もはや手をこまぬいているわけにはいかない状況だと思いました」
更に近年、高校の教育現場は大きな環境変化に直面する。新学習指導要領の実施、学校週5日制の導入、そして国立大入試の5教科7科目化である。
「生徒が学ばなければならない内容は増えたのに、学校で学べる時間が減少した。そして、生徒は学びから徐々に離れていこうとしている。解決すべき課題は山積みでしたが、何か今のうちに手を打たねばならない。そして、この状況を一気に解決するための手段がSSHだったのです」(筒井教頭)
SSHに認定されれば柔軟なカリキュラム編成が可能になる。それがSSH導入の最大の狙いの一つだったと筒井教頭は振り返る。 |
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「真の学力」を身に付けるためのSSH |
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SSH導入により、従来にはない体験型の学習が増えるなど、入試対策とは別の負担が教師、生徒共に増すのではないかという声も当然校内にはあった。だが、「一見すると回り道に思えることからでも真の学力に結び付くことが多いことは、本校の歴史が証明している」と筒井教頭は断言する。
「本校は、学校行事を重視し、生徒の自主的な活動を尊重してきたからこそ、入試でも実績を残してきたのだと確信しています。学ぶ時間が少なければ、0限や8限をやればいいという考えもありますが、真の学力を養うためには、受験勉強だけでなく様々な経験を通じて人間的に成長することが不可欠です。SSH導入は、本校がこれまで取り組んできた教育と軸を一にするものです」(筒井教頭)
「学びたきもの集う」を創校の志とする富山高校は、新しいカリキュラムの下で自ら学ぼうとする生徒たちへの期待と共に、SSHをスタートさせたのである。 |
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