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複数教科・科目の連携で、科学の道筋を段階的に学ぶ |
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富山高校のSSH事業の最大の山場は、2年次の「総合探究」での課題研究だ。自然科学に関する課題を生徒自らが見つけ、その解決に向けて研究に取り組み、研究報告書にまとめていく。そのため、1年次から科学の基礎や実験スキルを身に付けることが大きな目的となる。しかし、基礎学力調査の結果からは生徒の読む、書く、話す、考えるといった科学的な思考の礎となる能力をより高めていく必要性が浮き彫りとなった。
「中学校での学習歴は生徒によって異なります。しかし、2年次の課題研究に向けて、1年次にある程度底上げを図る必要性が認識されました。特に問題となったのが、データを入力・処理したり、まとめたり、それを分かりやすく発表したりする能力・スキルの養成です。討議を重ねた結果、本校ではそれを教科・科目間の連携を通じて達成しようと考えました」(筒井教頭)
つまり、週1時間の「総合探究」だけでなく、「情報科学」「自然と科学」を連携させることで富山高校はこの課題の解決にアプローチしたのだ(図1)。 |
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例えば、「タマネギの表皮細胞の大きさの調査」がテーマの場合、「総合探究」(週1時間)でタマネギの表皮細胞の測定方法を学んだら、今度は「情報科学」(週2時間)の時間を利用して表計算ソフト上でのデータの入力方法や分析結果に関する討論を行い、更に「自然と科学」(週3時間)とリンクさせ、合計週6時間を柔軟に運用し効果的なプレゼンテーションについて学び、実際に班別に発表を行うというように、複数の教科・科目をステージとしながら段階的に学ぶ仕組みを確立したのだ。
また、1年次3学期から2年次1学期にかけての「総合探究」では基礎実験を行っている。物理、化学、生物、数学の4分野での実験をローテーションで全員が体験する取り組みだ。1年次から幅広く学ぶことで、課題研究で取り組む研究テーマの決定がスムーズに行えるようになったという。
「このような段階的な指導の考え方も基礎実験も、SSH初年度から確立されていたわけではありません。最初は我々教師もやみくもに取り組んでいたように思います。1年が終わって、こうすべきだという形が見えてきたのです」(清水教頭) |
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