ベネッセ教育総合研究所
SSH指定校レポート
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既存の活動も深化を進める
 SSHでの取り組みの中には、既存の活動を拡充・発展させて展開しているものももちろんある。立山実習と筑波科学研修がそれだ。
 従来行われていた立山実習は、富山県のシンボルである立山の自然環境を経年調査し、データを採集するというもので、富山高校の伝統的な行事の一つとして取り組まれていた。だが、SSH導入以降は、富山大の教授の指導の下、野外調査の方法や研究成果の発表方法を学ぶという内容をより重視するものになった。言わば、高校段階で大学で取り組むようなフィールドワークを、大学教授と共に疑似体験する活動へとシフトしていった。
図表
1泊2日で行われる立山実習。生態分布、地層・地質などに関する調査が富山大理学部地球科学科の教授らによる指導の下で行われた。
 「筑波科学研修は4日間の日程で行われます。取り組みの内容は、筑波大への体験入学や先端科学技術施設の見学、班別体験実習などです。実は、この筑波科学研修での訪問先については、『情報科学』の時間を利用して生徒自身が調べ、Eメールなどを用いてアポイントメントを取っているのです」(松本先生)
図表
 「筑波科学研修も立山実習もSSH導入以前から実施していた取り組みですから、SSH以降も無理なく実施できる内容、体制で続けていくことを心掛けました。そのため、SSH事業の中の取り組みの一つになっても、生徒にはこれまで同様に活動費を負担してもらっていました。SSHの3年間を“お祭り”のような特別な期間だと考えるのは、私たちが最も嫌うところです。同じ本校の生徒なのに、SSHのときの生徒だけ大きな恩恵を受けるというのは好ましくないと思うのです。ですから、すべての活動について、今後本校に入学してくる生徒たちにどうつながっていくのか、私たちは常にそれを問い直しながら進んできたつもりです」(筒井教頭)
 SSHでの3年間の活動が終わろうとしている今、富山高校が次の課題と捉えているのは、この3年間をどう生かし、学校として次の生徒たちに継続していくかである。
 「SSHを通して、生徒だけでなく教師自身のモチベーションが高まり、視野が広がったと思います。高大連携などの新たなネットワークを含めて、自分たち教師の成長をどう継続させていくかが、まさに教師全員に問われていると実感しています」(清水教頭)

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