特集 「完全新課程生」をどう育てるか
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
  PAGE 2/20 前ページ  次ページ

生徒の変化 1

家庭学習の時間は03年度入学生よりも増加

 まず、新課程生の弱点として頻繁に指摘される「家庭学習習慣の未定着」という問題について検証してみたい。ここでは「中学校時代の学習時間」「今後(高校入学後)の目標学習時間」の二つの観点について、03、04、05年度入学生のデータを比較する。
  まず、新入生に中学時代の学習時間について尋ねたDATA1に着目してみよう。一見して分かる通り、03年以降、家庭での学習時間は、高校現場の実感とは逆に、むしろ増加していることが分かる。特に、中学時代に勉強を「ほとんどしない」生徒が、「授業がある日」「休日」共に減少傾向にあることは注目される。
 同様の傾向は、高校入学後の学習時間の目標について尋ねたDATA2にも示されている。こちらについても、「授業がある日」「休日」共に、全般に03年度より、学習時間の目標が高い。
  このデータを見る限り、「完全新課程生」の家庭学習習慣は決して悪い方向には向かっていないように思われる。実際、現場からも、「全く家庭学習をしたことがない生徒は減っている」との意見が寄せられている。この結果は、新課程、学校週5日制による中学での学習指導の変化とも関係があるのではないか。
  では、「新課程生は家庭学習習慣が未定着」という多くの高校教師の実感は、どこから生じているのだろうか。次ページでは更に、05年度入学生の学習の「内容」について掘り下げてみたい。

図(DATA1,2)

現場の声

以前と比べて特に学習時間が伸びた印象はない。ただし、「中学時代に全く家庭学習をしたことがない」という生徒は減ったように思う。実際、校内アンケートを実施したところ、「1日の家庭学習時間が0分」という生徒は以前より減っていた。

5~6年前から、家庭学習の習慣付けを行ってもらえるよう、学区内の中学校にお願いしてきた。実際、中学校側でも近年は、宿題に対するネガティブな感情はずいぶん変わってきている。

机に向かうこと自体に抵抗感を持つ生徒は以前よりも少なくなっているように思う。本校では新入生合宿で家庭学習の習慣付けを図っているが、指導していても意外に素直な生徒が多いような印象がある。

※「現場の声」は、編集部が取材を通して先生方からうかがった内容を掲載している。

  PAGE 2/20 前ページ 次ページ