特集 「完全新課程生」をどう育てるか
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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生徒の変化 2

「非―主体的」な学習姿勢が強くなっている

 家庭学習の時間は以前よりも増えていた「完全新課程生」。では、その学習の「内容」とはどのようなものなのか。それを読み解く鍵となるのがDATA3、4である。
  まず、DATA3に着目すると、英語、数学、国語(古典)のいずれについても、中学時代に「予備校・塾に関連した学習が中心」だったと答える生徒が増加していることが分かる。
  更に、高校入学後の予備校・塾に対する意見を求めたDATA4を見ると、高校入学後も予備校や塾に通い続けたいと考える生徒が、03年度以降も増加傾向にあることが分かる。つまり、塾を中心とした学習スタイルの生徒は、新課程移行後も徐々に増えているということだ。
 予備校や塾での学習をひとくくりに語ることはできないが、学校の授業を中心に学ぶスタイルで学習する生徒は、この数年間で更に減少しているようだ。実際、文部科学省が新課程で掲げた「自ら学ぶ生徒の育成」などの教育目標とは逆行し、「プリント学習など、与えられた課題に対しては一生懸命取り組むが、課題を自ら見つけて学ぶのは苦手」といった新課程生への評価は、現場でしばしば耳にするところである。
  この点を前ページDATA1、2と合わせて考えると、「机に向かうことへの抵抗感は少ないが、能動的な学習経験が不足気味」なのが「完全新課程生」の特質と言えそうだ。

図(DATA3,4)

現場の声

与えられた課題をこなすことには慣れているが、それ以上の課題を自分で見つけて取り組む意欲が弱くなっているように感じる。ほんの数年前までは、宿題や課題以外に、自分で買った問題集などを持って、職員室に質問に来る生徒がいたものだが、最近はあまり見かけなくなった。

先日、定期テストの出題範囲を指示したところ、「対策プリントはないんですか」と生徒に質問されて驚いた。「出題範囲は教科書の○ページから□ページまで」と言っても、より即物的な「対策」を求める生徒が少なくない。「与えられた教材をこなす」ことが学習だと思っているのではないか。

塾に通っている生徒に聞いてみると、実際には、自習室でプリント学習などに取り組んでいる生徒が多いようだ。学習の「場」を求めて塾に通っているようなところがあるのではないか。


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