特集 「完全新課程生」をどう育てるか
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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生徒の変化 3

学力格差の拡大は今後も進む公算が高い

 新課程移行後のもう一つの課題としてよく挙がるのが、学力格差の拡大である。この点については、中学校教師の学力格差に関する意識を調査したDATA5から考えてみたい。
  「5年前と比べて、生徒の学力格差はどう変わってきているか」という問いに対し、「とても」「やや」を合わせると、半数以上の中学校教師が学力格差の拡大を感じていることが分かる。中学校でも習熟度別授業を実施するなど、相応の対応が行われているが、今後は、その成果が一層問われることになりそうだ。
  今後の高校の指導においては、中学校での学力格差拡大をある程度前提とした指導プランを模索すると共に、入学前段階での生徒把握を一層進めていくことが重要になるだろう。実際、後出の三重県立上野高校では03年度より、入学以前の3月の段階で「新入生保護者アンケート」を実施し、新入生の学習履歴・家庭環境の把握に努めている。成績面に偏らない生徒把握の取り組みは、入学後に成績下位層がドロップアウトしてしまうのを防ぐ上でも有効なはずだ。

図(DATA5)

現場の声

模試の成績分析などをしてみると、数年前よりも校内での学力格差が大きくなっている。授業でも下位層の生徒がついてこれる進度や難易度をある程度考慮せざるを得ないので、調整に苦労している。

学力格差を踏まえると、習熟度別授業を実施したいのが本音だが、一般的な高校では、人員や予算の問題もあり難しい。授業は結果的に、下位層がなんとかついてこれるギリギリの進度で行っている。上位層に対するフォローは、個別指導や放課後の補習に頼らざるを得ないのが現状。


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