指導変革の軌跡 青森県立三本木高校「考える力の育成」
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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体系的な指導で近年にない実績が出る

 出願する生徒が出揃った3年次の9月。教師たちはいよいよラストスパートへと向けて動き出した。
  まず、前年度までと大きく変わったのは、面接指導の実施時期を例年よりも1か月余り前倒しした点だ。志望学部系統に応じて生徒をリスト化、志望大の過去の出題傾向を踏まえた上で、生徒3名程に教師1人の割合で、面接指導の担当が割り振られた。更に、学年の壁を越えた指導体制の構築も、例年以上に徹底されたという。
  「担当の教員は、教科特性などを踏まえて決めました。3学年の教師だけではとても対応しきれないので、進路指導部を通じて、他学年の先生方にも面接指導への協力を依頼しました。また、実際に指導を行う際には、『学部系統ごとの絶対に外せない論点を押さえる』『アドミッションポリシーや募集要項の内容を意識した受け答えをさせる』といったポイントを重視しました。せっかく良い資質を持っている生徒でも、こうしたポイントを押さえた受け答えができないことには面接を突破できません」(福島先生)
  また、学年を越えた体制を築くことで、生徒一人当たり最低5回は面接練習を行えるようになった点も見逃せない。しかも、単に回数が増えただけでなく、さまざまなバリエーションでの面接練習が可能になった。具体的には、(1)生徒対担当教員、(2)生徒対学年主任、(3)生徒対教頭、といったバリエーションで面接練習が行われたという。
  「複数の教師の視点で一人の生徒を見ることができたので、従来に比べて確実に生徒の面接力が向上したと思います。特に、従来はグループ面接の練習などが行いにくかったのですが、今年からは過去の出題傾向を踏まえた上で、かなり充実した対策ができるようになりました」(福島先生)
  同様の手法は推薦書や志望理由書、小論文のブラッシュアップにも活用された。推薦書や志望理由書は、最低でも2人の教師がチェック、小論文指導についても、過去の出題傾向を踏まえた上で、生徒数名に1人の割合で担当教師がついて緻密な指導が行われた。
  「教師の頑張りも大きかったですが、それ以上に生徒の頑張りが大きかったと思います。途中で学習を放棄する生徒もなく、当初の約束通り、推薦・AOに出願した生徒全員がセンター試験を受験しました。中には『クラスの仲間と一緒に最後まで頑張る』と言って、個別学力試験まで勉強を続ける生徒もいました。『合格後にダラける生徒が出てくるのでは』という不安は杞憂に終わりました」(森先生)
  このような改革の成否を問う05年度入試の結果は驚くべきものだった。国公立大の推薦・AO入試に出願した82名のうち、実に42名が合格。一般入試を含めた学校全体の進学率で見ても、85.8%という近年にない実績を出したのだった。


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