05年度入試の実績が追い風になり、森先生たちの取り組みは、徐々に学校全体に根付きつつある。全校体制での面接や小論文指導は現2、3年生に対しても実施されるようになり、ディベート活動やパネルディスカッションも、現1学年に引き継がれている。
また、一連の改革が進む中で、従来は「裏方」的な役回りが多かった進路指導部の活躍の場が増えてきたことも見逃せない。進路指導主事の福村忠夫先生は05年度入試に向けた取り組みが、そのきっかけになったと感じている。
「小論文や面接指導を行う際に、他学年の先生にサポートをお願いするのは、学年団としては難しいところがありますよね。そこで、学年を越えた担当教員の割り振りや、出願書類のチェック、過去問の収集などは、進路指導部が一手に引き受けました。3学年の先生が、生徒とじっくり向き合うことに集中できる環境づくりをサポートしたわけです」
その意味で、05年度入試の成果は、三本木高校の今後の進路対応の方向性を占う、試金石ともなったわけだ。最後に、福村先生は今後の三本木高校の指導方針について、次のように語ってくれた。
「最近の大学入試改革の動向を見ていると、分離・分割方式の見直しがどんどん進められています。そんな中、今後の推薦・AO入試には、『教科学力以外の指標を評価してもらえる』という意味合いと共に、受験機会の複数化という意味が益々大きくなってくると思います。学校全体としてどのように実績を上げていくか。これまで以上の努力が求められると思います」
旧来の常識を乗り越えて改革がスタートした三本木高校。改革の本当の成果が真に試されるのはこれからなのかも知れない。
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