改革を進めるに当たり、進路指導部がまず着目したのは「実力テスト」の見直しだった。当時は、各学年で9月と2月の年2回実施していた自作問題による校内テストであった。しかし、その捉え方については、教師間・教科間で大きなズレがあったという。
「例えば、2月の実力テストを年間の到達度を測る指標にする学年もあれば、3学期の中間テストとして位置付ける学年もありました。実力テストの本来の意味は何なのかを明確にすることは、以前から本校の課題の一つだったのです」(大津先生)
実力テストと言うからには、客観的に生徒の実力を判断でき、かつデータが蓄積できる必要がある。そこで大成女子高校では、校内自作の実力テストの代わりに外部模試を実施することで、客観的な実力判断材料とすることにした。
しかし、大成女子高校には4年制大を目指す生徒から、短大や専門学校進学を目指す生徒、就職を希望する生徒まで、幅広い学力層の生徒がいる。そのため、通常の外部模試では拒否反応を示す生徒も少なくないという。すべての学年・コースで統一的に実施するためにも、問題の難易度が大成女子高校の生徒にマッチしていなければならない。
そこで、大成女子高校が導入したのが、「進路マップ」(※)だ。問題が比較的平易な上、学力だけでなく、学習状況や進路意識なども測れることが、進路指導の効果を高めると考えたからだという。進路指導部副部長の綿引隆先生は、次のように述べる。
「生徒を褒めるための観点が増えたということが最大のメリットだと思います。以前から、家庭学習の状況や進路意識の変化など、生徒の意識を多面的に測る必要性を感じていましたが、通常の模試だと、面談の話題は偏差値についての話が中心になりますよね。しかし、学力が伸び悩んでいる生徒には、学力以外のことで褒めたり励ましたりする方が、やる気が高まり、ひいてはそれが、教科の学習や進路学習への意欲を高めることにつながるんです」
|