VIEW21 2006 INTERVIEW キーワードは「チーム力」「学校力」向上の鍵はミドルが握る
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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選ばれる高校になるために「学校力」を目安にして魅力ある高校をつくる

――「学校力」の考え方を最初に発信されたのは小島先生ですが、先生は「学校力」をどのように定義しているのでしょうか。改めて教えてください。

小島 高校は、従来から生徒や保護者にとって「A校には進みたいが、B校には行きたくない」というように、選択の対象でした。その上ここ数年、総合学科などの多様なタイプの高校の登場や、学区の再編、公立と私立との競争の激化などにより、高校は更に厳しい学校選択の波にさらされるようになっています。
  高校はより魅力的な学校になるために、数多くの評価項目を設定して、自己評価に取り組み始めています。でもあまりに評価項目が複雑だと、かえって学校づくりの方向性が見えなくなります。
  そこで学校の魅力を構成している要素を見えやすくするために、要素を大きく五つに分け、その総体を「学校力」と名付けたのです。学校づくりの目標や方向性を定めたり、現状や課題を分析するときに、「学校力」の概念は一つの目安にできると思います。学校選択において高い評価を受けるためには、総体としての「学校力」を高めればよいわけです。
  人によって「学校力」の分け方は異なるでしょうが、ひとまず私は「学力」「指導力」「経営力」「スクールアイデンティティ(SI)」「安全・危機管理」の五つから成り立つと考えました()。

図

  「学力」とは教科学力だけではなく、学校教育で身に付けるべき広い能力のことを指します。当然、進学校と進路多様校、職業高校では、生徒に身に付けさせたい学力の内容は変わってくるでしょう。
  「指導力」では、授業力や専門的知識、生徒理解といった教師個人の力量と共に、自分の役割や課題を認識してほかの先生方と協働関係をつくることができる「チーム力」も求められます。
  「経営力」とは、地域や保護者の意向などを受け止めながら学校としてのビジョンを示し、実際に運営していく力のことを言います。
  「SI」は、そうした教育活動が蓄積される中で培われていくものです。「あそこの学校は、受験指導だけではなくて、人間教育もしっかり行ってくれる」とか、「あの学校の生徒は、部活動でも学校行事でもいきいきとしている」といった周囲からの評価やイメージは、短期間で定着するものではありません。管理職や主任クラスの先生が異動すると崩れてしまうようなものでは、信頼は得られないでしょう。
  SIを確立し、きちんと受け継いでいくためには、全教職員によるSIの共有化が不可欠となります。特に最近は教師の異動サイクルの短期化が進んでいますから、意識的にSIの共有化を進める必要があると思います。
  学校が特色づくりを行う上では、その学校が抱えている課題が、逆に強みになる可能性を秘めています。例えば遅刻をする生徒の増加に悩む高校が、朝の校門指導などをはじめとした生活指導の徹底を図ったとします。これが成果を上げると周囲からは「あの学校は、生徒の生活習慣の確立に力を入れている」と評価されるようになるというわけです。


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