――「学校力」の考え方を最初に発信されたのは小島先生ですが、先生は「学校力」をどのように定義しているのでしょうか。改めて教えてください。
小島 高校は、従来から生徒や保護者にとって「A校には進みたいが、B校には行きたくない」というように、選択の対象でした。その上ここ数年、総合学科などの多様なタイプの高校の登場や、学区の再編、公立と私立との競争の激化などにより、高校は更に厳しい学校選択の波にさらされるようになっています。
高校はより魅力的な学校になるために、数多くの評価項目を設定して、自己評価に取り組み始めています。でもあまりに評価項目が複雑だと、かえって学校づくりの方向性が見えなくなります。
そこで学校の魅力を構成している要素を見えやすくするために、要素を大きく五つに分け、その総体を「学校力」と名付けたのです。学校づくりの目標や方向性を定めたり、現状や課題を分析するときに、「学校力」の概念は一つの目安にできると思います。学校選択において高い評価を受けるためには、総体としての「学校力」を高めればよいわけです。
人によって「学校力」の分け方は異なるでしょうが、ひとまず私は「学力」「指導力」「経営力」「スクールアイデンティティ(SI)」「安全・危機管理」の五つから成り立つと考えました(図)。
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