意識改革を図ることで教師の力を引き出すことも重要だが、教師一人ひとりの指導力の総体としての「学年のノウハウ」を、次代へ引き継ぐことも忘れてはならない。大分舞鶴高校では現在、あらゆる取り組みを学年主導から分掌主導へとシフトすることで、ノウハウの伝承が図れる組織体制づくりを進めているという。
「本校は、元々教師の力量が高いということもあり、これまでは学年主任の主導の下に取り組みを進めてきました。しかし、学年主導で実施している限り、学校のシステムとしては残っていきません。また、ノウハウの伝承が進まなければ、学年ごとに毎年一から積み上げなければなりません。しかし、分掌が管理することで、1~3学年全体を見渡すことができますし、毎年同じ活動を実施できるので、経年変化による成果検証も可能となるのです」(大鳥先生)
「IP52の基本構想」による、行事のコンセプトの明確化や取り組みの整理も、現在は、進路指導部の取り組みとして引き継がれ、進路企画を統括する構想図として形づくられつつあるという(図3)。
「分掌主導で取り組みを進める際に大切なことは、分掌はあくまで取り組み全体の骨格を構築し、方向性を定めるにとどめ、あとは学年の自由裁量に委ねることです。明確な目的を示し、的確な時期に実施するよう心掛ければ、学年主任の負担も軽減されるはずです」(大鳥先生)
進路指導部を軸とした縦の連携を強化することで、たとえ教師の異動があっても、良いものは学校の力として残していけるようなシステムを構築することができるのである。
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