「高校生研究者たち」の実施に手応えを感じ、関高校は更に大きな企画の実現に向けて動き出した。吉田前校長の発案による「関高学力スタンダード」の作成だ。1年生は英数国の3教科、2・3年生は英数国理地歴の5教科からなる独自の教材で、関高校の生徒としてこれだけは身に付けてほしいという内容を厳選し、冊子にまとめている。
もっとも、企画から作成までの道のりは決して平坦ではなかった。特に「関高学力スタンダード」のコンセプトを決める段階では、各教科の教師が集まり、何度も議論を重ねた。
「『そもそも関高生にとってのスタンダードとは何なのか』というところから議論は始まりました。冊子の中身も、難易度の高い問題にするのか、基礎・基本を中心とするのかなど、さまざまな意見が出ました。会議が深夜にまで及んだことも珍しくありませんでした」(居波先生)
議論自体が、教師の授業観・教材観に大きな刺激を与えた面もあった。今井先生は「ベテラン教師が『この単元を自分はこのように教えている』と若手にノウハウを伝え、逆にベテランが若手の発想に驚かされることもしばしばありました」と振り返る。03年度の1年生が2年、3年と進級するごとに、2級、1級と作成し、05年度に全級の「関高学力スタンダード」が完成した。
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