中学校の現場から 習熟度授業

栃木県 佐野市立葛生中学校

栃木県南西部に位置する佐野市は、 2005年2月に1つの市と2つの町が合併して誕生した人口約13万人の市。 02年度から3年間、文部科学省「学力向上フロンティアスクール」の指定を受け、「自ら学ぶ人」の育成に取り組んできた。

生徒数 ● 205名
学級数 ● 8学級

WEB PAGE●http://www.sunfield.ne.jp/
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VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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指導事例
栃木県 佐野市立葛生(くずう)中学校

生徒の希望を優先したクラス編成で
学習意欲を高め、内容の広がりも確保

図

学力でのコース分けは授業の広がりに欠ける

 葛生中学校では、入学段階で最も学力の差がついている教科が数学だ。小学校時点で既に「算数嫌い」になっている生徒も少なくない。そこで、葛生中学校は6年前から全学年の数学で2クラスを三つに分けた習熟度別授業を取り入れており、現在では「基礎」「標準」「発展」の3コースを設定している。
  「以前は各コースをベーシック・アドバンス・エクストラと名付けていました。しかし、言葉のイメージから偏見に近いものを感じさせてしまうという指摘があったのです。能力にかかわらず、自分の学習スタイルに合っていて、自分の力を伸ばせるコースで学ぶことが大切だと考え、各コースを担当教員名にして、指導の特色を明確に打ち出すことにしたのです」(篠?義成先生)
  コース替えは年6回、単元ごとに行う。コース選択に際して、教師が助言することもあるが、「自分を的確に判断し、評価できる力を身に付けてもらいたい」との考えから、あくまでも生徒の希望を尊重する。生徒は「できるようになった」「学力をもっと上げたい」「今のコースでは理解が不十分」などと感じたとき、自らコースを移る判断をする。
  「学年にもよりますが、生徒は発展コースを避ける傾向にあります。ほかの中学校の先生に話をうかがっても同じような傾向にありました。『勉強、勉強』という姿勢が友達の間で歓迎されない風潮が原因だと思います」(篠﨑先生)
  希望制を採用すると、テストの点数で振り分ける場合よりも、それぞれのコースに集まってくる生徒たちの学力には幅ができる。それが授業によい影響を及ぼしていると、野村隆一先生は話す。
  「学力だけでコースを分けると、コースの生徒の学力が均質化してしまうので、授業の広がりや高まりが欠けてしまいます。授業の中で『あいつはすごいな』とほかの生徒から刺激を受けるような場面も大切です」


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