2004年4月、京都府立南陽高校は一つの転機を迎えていた。京都府では、この年度の新入生から公立高校入試制度が変更となった。山城通学圏では学区による受験制限が緩和され、生徒がより自由に高校を選べるようになったのだ。
そんな中、南陽高校には以前よりも学力レベルの高い生徒が入学するようになった。「過去の進学実績から考えて、南陽高校なら生徒の進路希望を実現してくれるはず」という期待が、これまでの学区を越えてより広い地域から集まったのだ。進路指導部長の小畑順二先生は、当時をこう振り返る。
「入試制度変更以降、つまり今の3年生の入学時から、本校には学力の高い生徒が数多く入学するようになりました。本校は04年度まで国公立大の合格者数は70人台後半から80人台半ばを維持してきましたが、この変化をうまく生かすことができれば、国公立大の合格者数を3桁にまでアップさせ、学校の存在感を更に高められると考えたのです」
南陽高校は単に進学実績のみを学校の強みにしようとは考えず、入試制度の変更を自校の「総合力」を高めるためのチャンスと捉えたのである。そして、図1のような学校経営計画を立てた。
中学生とその保護者は、進路実績だけではなく、校風や学校行事、生徒指導など、さまざまな面を考慮しながら高校を選ぶ。こうした総合力で見たときに、魅力的な高校になるためにはどうすればよいのか。そのための戦略と行動を、入試制度の変更を機に展開しようとしたのだ。
ここでは、南陽高校の戦略立案と実践を支える改革を軸に紹介する。
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