特集 「学校力」を考える(2)「学校経営力」を高める
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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1 経営の「頭脳」となる「NSPP」を創設

 04年度に立てた中長期計画を受け、南陽高校がまず着手したのは、従来の校務分掌を再編する形で、戦略策定チーム「NSPP(南陽スクールプランニングプロジェクト)」を立ち上げることだった。NSPPは、校長以下管理職3名に、主任クラスの教務部長、進路指導部長、生徒指導部長、企画研究部長の計7名からなる少人数の会議だ(図2)。これが「南陽高校が期待する生徒の確保」「各種取り組みの充実」「生徒の学力向上や進路実績の向上」といった南陽高校のビジョンを実現するための「頭脳」となったのだ。

図2

  NSPPは月1、2回開催。これまで話し合ったテーマは、中学校や塾への広報活動、新学科(06年度新設のサイエンスリサーチ科)設立に伴うコンセプトづくり、新しい制服の導入、研修旅行制度の在り方など、多岐に渡る。他校では運営会議や各分掌の部会で話し合うことが多いテーマを、南陽高校ではまずNSPPで討議する。そのメリットを教務部長の中西伸先生は次のように語る。
  「NSPPの役割は、学校の方針の原案をつくり、運営会議に提案することです。運営会議は参加人数が多いため、一人ひとりが自由に発言をするというのは難しく、どうしても連絡調整のための会議になりがちです。そこでNSPPは、学校経営の戦略を活発に討議できるように、管理職と主任クラスによる少人数の会議としたのです。これにより、学校経営上の高度な案件でも、迅速かつ大胆に戦略と実践の素案を立てられるようになりました」
  校長は、トップとしてのビジョンを主任クラスに明確に示す。一方、主任クラスは、そのビジョンを現場の実情と突き合わせながら現実的な戦略を組み立てる。こうした手法により、現場の実態と遊離したビジョンや、ビジョンなき実践に陥ることを回避できたのだ。
  また、教務部、進路指導部、生徒指導部、企画研究部という主要4分掌の主任がメンバーであることも重要なポイントだ。ミドルリーダーが感じている学校の課題や着手すべき施策について、異なるポジションから発案できるからだ。
  「従来は各分掌の部長が一人で考え、個別に校長に相談していたアイデアを、ほかの分掌の部長と一緒に練り上げていくことができるようになりました。より完成度の高い取り組みにつなげることができたという点で、NSPPを立ち上げた意味は大きいと思います」(中西先生)
  こうした工夫が奏功し、南陽高校ではわずか2年の間に数多くの改革を実現させてきた。


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