特集 「学校力」を考える(2)「学校経営力」を高める
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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2 企画研究部で戦略を具現化する

 NSPPの効用は、意思決定の迅速化だけにとどまらなかった。分掌横断型の組織が成立したことで、教科や分掌の壁に阻まれてうまく集約できていなかった校内のアイデアを効率的に集約できるようになったのだ。
  「各分掌のアイデアを持ち寄って議論した中で、進学実績以外にも本校のセールスポイントを整理できました。その一つが『学校行事』です。週5日制などに伴い、文化祭や体育祭などの行事を精選した高校もありましたが、本校の特色を考えたときに削ることはできないと判断して、すべての行事を維持することにしました。今では、学校行事は生徒にとって大きな充実感と達成感を味わえる楽しいものとなっています。
  また、生活面で生徒の様子が落ち着いていることは、保護者にとって大きな安心材料になります。南陽高校に進学すれば、勉強も頑張れるし、高校生活も楽しめる。そんな姿を総合的にアピールしていくことの必要性を共有できました」(企画研究部長 蘆田尚嗣先生)
  南陽高校では、06年度から制服のデザインを一新した。これも「生徒の制服へのこだわりは、私たちの想像をはるかに超えている」(小畑先生)という認識の下、広報戦略の一環として行われた。
  ただし、次々と企画を立案するばかりでは、実行にあたって疲弊しかねない。南陽高校では、そんな危機を回避するため、NSPPの創設と同時に「企画研究部」の分掌事務を改善、強化した。その役割は、NSPPで立案された戦略の具現化だ。企画と実行を効率よく役割分担することで、業務の集中を回避しようというわけだ。例えば、南陽高校では教育活動を広く知ってもらうために、中学校や塾への訪問や、学校公開、学校見学会、小学生対象のスポーツ教室などの体験活動プログラムを行っている。こうしたさまざまな企画を効果的に運営するのが企画研究部だ。
  「企画研究部が立てた計画に沿って、05年度はNSPPのメンバーが分担して中学校や塾をそれぞれ4~5回ほど訪問しました。『学校案内』などの資料(写真1)ができるたびに、直接渡すという名目で訪問するのです。広報活動だけではなく、中学校や塾から情報を収集できるというメリットもあります。
  また、体験活動プログラムは、小学校高学年の子どもたちが、本校の生徒と一緒に部活動を体験するというものです(写真2)。『高校生になったら、南陽高校に行くんだ』という子どもを、今から増やしておきたいという狙いがあります。『まだ早すぎる』と思われるかもしれませんが、小学校卒業後、成績上位層の多くが私立中学校へ入学してしまいます。ですから、子どもたちに少しでも公立に目を向けてほしいと思って始めたのです」(蘆田先生)

写真1
写真1 南陽高校が作成した学校案内や新学科の案内。発刊の時期に合わせて内容も変えている。
写真2-1 写真2-2
写真2 小学生を対象にスポーツ教室やマジック教室などを開催。小学生に南陽高校に関心を持ってもらうきっかけづくりとしている。

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