指導変革の軌跡 宮城県佐沼高校「学力向上」
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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教師が一丸となった「Sanuma授業塾」

 03年度3月には県教委と宮城教育大との連携による「Sanuma授業塾」が実施された。中学校・高校関係者や佐沼高校学校評議員など、県内から多くの参加者を募り、公開授業分析会を行ったのである。この取り組みは、「進学支援プログラム」で培われた教師の熱意と、久力校長の改革意欲が融合を果たしたという意味で、改革の一つの到達点を示すものとなった。
  「当初は『公開授業はもう少し研鑽を積んでから』といった反対意見もありました。しかし、綿密な実施計画を立て、なぜこの取り組みが必要なのかということを何度も説明しました。校内での会議だけでなく、若手や部長・主任との飲み会での議論も重ねました」(久力校長)
  その結果、実施要項を発表した03年度1月には、職員会議の席上、教師からは「どうせやるなら150名は参加者を集めよう」「マスコミにも告知しよう」といった声が上がった。入試で多忙な時期にもかかわらず、教務部は率先して運営の中心を担った。体育科の教師は会場設計に知恵を出し、美術科の教師は校内のすべての絵を入れ替えた。少し背中を押されれば、どんな困難にも立ち向かう。そんな気概が、過去の改革を通して教師の間に醸成されていたのである。教師の熱意が実り、当日は150名を超える参加者が集まった(写真1)。

写真1
写真1 「Sanuma授業塾」での数学IIの公開授業の様子。教室は参加者でいっぱいだ。

  授業分析会は英数国理社の5教科で行われた。大学教員の協力を受け、事前に作成した指導案に基づき、各教科の担当教師が公開授業を実施。その後、各教科の分科会で大学教員や県教育研修センター指導主事を交えて授業分析を行った。物理担当の岡崎金雄先生は「指導の技術的なアドバイスだけでなく、わかりやすい教え方についてのさまざまなアイデアも頂け、長らく忘れていた研究心が蘇ってきました」と感想を述べる。
  また、参加者には「授業アドバイスシート」を配付し、授業展開や生徒理解、教材研究の観点から、各教科の授業を分析してもらった。授業提供者の授業後の気付きを促進させるためである。更に後日、同シートに基づいた校内授業分析会を再度行い、授業改善に向けた具体的なアクションプランも検討した。
  その後も「Sanuma授業塾」は年1回のペースで実施している。05年度からは近隣の中学校との「中高連携授業研究会」を定期的に実施し、相互参観を重ねている。「これまでは、授業分析の手法の研究に焦点を絞っていましたが、今後は公開授業の質そのものを高めていきたい」と、久力校長は方向性を示した。


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