教師の指導力向上を図る一方、佐沼高校では生徒の学習習慣の確立にも力を注いできた。「授業理解度の向上」と「家庭学習の促進」は、佐沼高校の取り組みの二本柱である。
「家庭学習の促進」を図るための最重要ツールは「学習の記録」だ。生徒は毎日、家庭学習で取り組んだ科目と内容、時間を記入して提出し、担任は所見を添えて返却する。毎日の作業とあって、所見記入の際の担任負担は大きい。そこで、渡邊先生は「スタディーサポートの4象限」を利用することで、所見記入の時間を短縮させているという。スタディーサポートの4象限とは、横軸を学習時間、縦軸を成績として、相互の相関を調べるものである(※)。「4象限の分布をイメージすれば、学習時間は多いが成績が伸びない生徒への助言、学習時間が少ない生徒への励ましなど、生徒の学習習慣と成績に応じたコメントが記入できます」と、渡邊先生は活用方法を説明する。
05年度の1年生に対しては、冬季・春季の長期休暇と3月の自宅学習期間に、5教科の課題を1冊にまとめた冊子を配布し、家庭学習の促進を図る取り組みも始めた。教科ごとに目安時間を設定するだけではなく、「新しい読解方法を身に付けるため」「1年間の総まとめとして」など、課題の目的も明記しているのが特徴だ(図2)。また、提出後は各教科担当が目を通し、「英語ができないのは国語が苦手だから」など、他教科の学習状況についても把握し、更なる生徒理解につなげている。
こうした学年独自の動きに対して、久力校長は「すべての先生がアイデアを出し合いながら、私の考えている以上のことをしてくれる」と笑みを浮かべる。
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