指導変革の軌跡 長野県・私立佐久長聖高校「学校風土の醸成」
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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各種研修により指導力向上を図る

 もっとも、互いに刺激し合い学び合うのは生徒だけではない。
  「生徒のレベルがどんどん高くなっている以上、教師も互いに高め合う努力をしなければならないという思いは強い」と、飯島先生は語る。入学してくる生徒のレベルアップに甘んじることなく、教師自らも向上する努力を欠かさないことが、佐久長聖高校の躍進を支えているのである。
  佐久長聖高校では、定期的にさまざまな研修活動を設け、教師の指導力向上を図っている(図2)。中でも特徴的なのは「校内研修」だ。これは、ベテラン教師が授業で工夫している指導法や教材などを発表する研修で、月1回の職員会の中で実施している。発表者は各教科が選出し、年間を通して各教科2名の教師が発表を行う。指導力向上を図ると共に、ベテランの持っているノウハウを全校的に共有していくことが目的だ。
  「ベテランの教師がさまざまな工夫をしているのを見て、ほかの教師も刺激を受けています。また、生徒を授業に引き付けるための工夫や効果的な小テストの実施方法など、教科を越えた普遍的なテーマについて発表することが多いので、他教科の教師が見ても参考になります。私は物理担当ですが、授業で実践している『生徒による授業評価』についての発表を行いました(図3)。発表後、何名かの教師が取り入れて実践しているようです」(飯島先生)

図2
図3

  また、新任教師向けの研修にも力を入れている。例えば「研究授業」では、毎年、新たに赴任してきた教師が全教師の前で授業を行い、アドバイスを受ける。佐久長聖高校には例年4~5名の教師が新たに赴任しているが、新卒、中途採用の区別なく、すべての新任教師が「研究授業」を行う。いろいろな教師から意見をもらえるので、新任教師は「求められる授業力」を把握できる。また、予備校出身などのベテラン教師が新任の場合などもあり、見ている教師も学ぶことが多いという。
  更に、佐久長聖高校では新任・ベテランを問わず、年間を通して自由にお互いの授業を見学できるようにしている。特に若手は、授業を見たい教師に各自で許可を取り、頻繁に授業見学をしている。「授業を見せ合うことに対する抵抗感がないことも本校の強み」と飯島先生は強調する。


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