また、指導力の向上と併せて、意識面の向上を図る工夫もなされている。飯島先生は「教師の意識に訴えかける最良の方法はデータを示すこと」と言いきる。
「模試などの結果が出るたびに、必ずクラスごとの度数分布を職員会で発表しています。そこで大切なのは、数値が落ち込んでいる教科やクラスがあれば、職員会の場ではっきりと指摘することです。あくまで客観的なデータですから、その数値を反省材料として、教科担当やクラス担任には危機意識を持って指導するように働きかけています」
受験も間近に迫った3年次では、マーク模試の結果から該当年度の国公立大合格者数を予想して、危機意識を高めることも行っている。
また、教師の意識向上を図る上で、刺激となっているのが予備校での講師経験のある教師の存在だ。近年はそれほど多くはないが、かつて佐久長聖高校では予備校講師を教師として数多く迎えていたという。
「予備校では、質の低い授業を続けていれば生徒はどんどん減って、講師自身も解雇される可能性があります。そういう意味で、予備校講師経験者の授業の質に対する意識は、非常に高いものがあります。現在、本校で中核的な存在として頑張っている教師の中には、予備校出身者も多くいます。そうした教師の向上意識が、教師全体にいい意味での緊張感を与えてくれていると思います」(飯島先生)
高い進学実績が学力の高い生徒を呼び、更に高い実績につながると同時に、生徒・教師が共に切磋琢磨し、お互いを高め合う努力をしていく。こうした好循環が生まれていることが、今日の佐久長聖高校の躍進の原動力となっている。
近年、学力上位層が増えている反面、学力下位層も徐々に増えてきている。今後の課題は、この学力層の二極化をいかに解消していくかという点だ。
「補習で学力の強化を図るほか、面談や進学講話、大学の模擬授業などを年間計画に効果的に位置づけ、下位層の、特に意識面を高めていきたい」と飯島先生は話す。06年度にはII類の生徒に対しても、土曜補習を必修にする学年もあり、佐久長聖高校の指導変革は今も続いている。
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