「なるには講座」で手応えを感じた犬山高校は、02年度に入り本格的な改革に着手。進路意識の醸成に向けた取り組みを次々と実施した。
特に1年生に対しては、大学・専門学校を訪問する進路見学会、インターネットのサイトを利用しての適職診断、ベネッセの教材「進路マップ(※1)」を利用しての「なりたい自分さがし」など、進路目標を見つける「きっかけづくり」を狙った活動を次々に展開。1年生という早い時期から進路意識を醸成することで、その後の高校生活へのモチベーションを高めようとしたのだ。
「進路見学会では、進学希望者と就職希望者とを区別せずに、すべての生徒に大学と専門学校の両方を見学させました。たいてい大学のキャンパスの方が大きくて奇麗ですから、両方を見比べることで大学進学への意欲を高めさせることも、狙いの一つでした。また、訪問先で外部の方々から、行動や言葉遣いを注意されたり、叱られたりすることにも意味があるのではないかと考えました。恥をかくことも、生徒の成長には欠かせない体験ですから」(木和田先生)
大学進学の意欲を喚起するだけではなく、学校の外に出ることで社会のマナーや礼儀を知る機会にもなっているのである。
犬山高校では、進路意識の醸成と並行して、学習指導の改革も行っていった。その一つが、全校で行う朝の10分間読書だ。単行本・文庫本であれば内容は自由とし、「自主的に本を読む楽しさ」を体験させると共に、落ち着いた雰囲気で学習に取り組めるようにするためだ。更に、国語の時間を利用して小論文指導を行い、進学・就職を問わず、すべての進路のベースとなる国語力の向上を図った。
また当初、全学年合同で実施していた「なるには講座」も、各学年に合った形にアレンジしていった。1年生は従来通り職業に関する講座の中から二つを選んで受講するが、2、3年生は「校内オープンキャンパス」と銘打った学校説明会にリニューアル。特に3年生対象としては、体育館に60を超えるブースを設け、近隣の大学や専門学校の入試担当者による学校紹介を大々的に実施した。
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