指導変革の軌跡 愛知県立犬山高校「進路意識向上」
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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「3R講座」で地域連携に踏み込む

 検討の結果、高大連携事業の柱として実施したのは「3R講座」だ。3Rとは、1年次の「リサーチ講座」、2年次の「リザーブ講座」、3年次の「リソリューション講座」の頭文字から付けた名前で、それぞれ夏休みの4日間で行う。生徒に進路を考えるきっかけをつくると共に、最終的にはコンピュータを駆使して、自分の選んだ研究テーマについて十分なプレゼンテーションができる状態にし、AO入試などに十分対応できるようにすることも狙いとしている。
  3年間の流れは、次の通りだ。まず、1年次ではコンピュータのスキルを磨くと共に、コンピュータに関連した最先端の研究内容を知る。2年次では、1年次で調べた研究内容も含めて各自で追究したいテーマを模索。3年次では、2年次で考えた研究テーマについてその研究室で指導を受け、地域の個人商店と連携して、実際にコンピュータでチラシなどを作成する(図1)。
  「大学の雰囲気を体験したことは、生徒にとって大きな刺激となりました。特に、2、3年生は大学院生から一対一で指導を受け、高校との違いを実感できたことが大きかったようです。大学進学という夢を描く生徒が増えたと思います」と、情報担当の和田紘枝先生は効果を実感したという。また、「リソリューション講座」では、学んだ知識を生かす喜びも体感できた。
  「地元の豆腐店やケーキ店の方々に協力していただき、職場に密着するジョブ・シャドーイング(※2)の形で店舗運営の仕事を体験させました。労働の大変さを実感すると共に、自分たちが学んだことを生かし、コンピュータでチラシを作成したのです。理論と実践の両方を体験したことで、生徒にとって大きな自信につながったようです」(長谷川教頭)

※2 働いている人に「影」のように密着し、仕事の内容や職場での仕事ぶりなどを観察するキャリア教育の手法
図1

  この成功を受け、犬山高校では高大連携事業の拡大を図った。初年度は情報活用コースのみが対象だったが、05年度からは普通科・商業科にも門戸を拡大した。その結果、参加者は初年度の32名から51名へと増加。大学側も生徒の努力を高く評価し、名城大では06年度から高大連携における実習が履修単位として正式に認められることになった。愛知工業大でも実習が履修単位として近く認められる予定だ。


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