指導変革の軌跡 愛知県立犬山高校「進路意識向上」
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
  PAGE 17/17 前ページ

一連の取り組みで進路未定者の数が減少

 本格的に指導改革を始めてから3年、成果は確実に表れている。
  教師がまず感じている変化は、学校の雰囲気だ。以前とは比べものにならないほど落ち着いて学習できる環境が整ってきた。更に、それに比例するように、遅刻者も大幅に減少した(図2)。これは、学校外(大学、地域など)との接触で視野が広がったこと、朝読書の定着で生活のリズムができたことなどが、生活指導の効果をより高めた結果といえるだろう。
  「職員室での先生方の会話の内容も変わってきました。生活指導に手をかけることが少なくなった分、生徒一人ひとりの教科学力や進路について、情報交換を密にすることができるようになりました」(長谷川教頭)

図2

  このような学校の雰囲気の変化や地域連携の取り組みにより、犬山高校に対する地元の信頼感も高まっている。全入学生における犬山市内からの入学生の割合が、05年度の21.3%に対して、06年度は32.6%と大きく上昇したことは、その証といえるだろう。
  しかし、一番の変化は、生徒の進路意識の向上だろう。大学進学希望は微増だが、「未定」と回答する生徒の割合は大きく減少した(図3)。また、05年度には「進路マップ 実力診断テスト」に挑戦した生徒も過去最多となり、全国で30番以内に入る好成績を残した生徒も現れたのである。
  「生徒は目先にとらわれ、安易な方向に流れてしまう傾向があります。推薦入学を目指し、それが無理なら専門学校へ行こうと考えがちです。将来を深く考えない安易な進路選択をさせないためにも、生徒に必要なのは『もう少しの我慢』です。進路意識が向上してきた生徒たちが、より自分に合った夢を実現させるためには、そんな『我慢力』を身に付けさせることが、今後一層重要になっていくと思っています」(長谷川教頭)

図3

  PAGE 17/17 前ページ