――「褒めることが大切」という指導は、もっと生徒に自信を持ってもらいたいということでしょうか。
宮越 そうですね。ただし、根拠もなくおだてるのではなく、生徒の潜在能力を信じ、敬意を持って接した上での言葉です。
森 生徒に「自分の可能性」に気付いてもらいたいですね。生徒自身は無理だと思っていることでも、私たちから見ればきっとできると思うことはたくさんあります。そのことに教師が総力を挙げて気付かせることが大切だと思います。面談はもちろん、廊下での声かけなど、日々のコミュニケーションの質が問われると思います。
上田 本校の教師は「生徒一人をすべての教師で育てる」という意識を持っています。だから、いろいろな視点で生徒の可能性を探り当てることができたのだと思います。
宮越 一人の生徒がどんな志望を持っているか、たくさんの教師が知っているので、生徒は学校にいる間、何人もの教師と話をすることになります。こうして教師とのちょっとした会話が増えていけば、生徒に入ってくる進路や学習の情報も自ずと増えていきます。
菱田 日々の学習でも進路選択でも、生徒が「わからない」ままになっていることを、教師が見逃していてはだめだと思うのです。ただし、職員室で改まって「調子はどうだ」などと聞いても本音は見えてきません。教室で、廊下で、生徒に会ったときなどに、教師総出でどんどん言葉をかけていけば、生徒は本音をポロリと漏らすものです。マイナスを指摘するのではなく、日常の会話の中で、生徒の不意をついてプラスを評価する。これが本校の教師の姿勢だと思います。
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