特集 高校教育の「不易と流行」
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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教師の団結力を高める「完全2人担任制」

 岡山朝日高校では、指導力向上だけでなく、教師の団結力を高める体制も連綿と受け継がれている。

 その好例が「完全2人担任制」だ。全国の多くの学校では、1クラスに担任1名、副担任1名がつき、50歳を過ぎると担任を持つことは少ない。しかし岡山朝日高校では、1クラスに2名の担任を置き、教師全員が担任を受け持っている。面談や保護者会、生徒指導、家庭との連携が必要なときの家庭訪問まで、2名の担任がすべての責任を負う。

 「生徒の保護者より年長の教師が担任として直接語りかけることは、生徒にとっても得るところが大きいのではないでしょうか。地域や家庭ではそうした機会が減っているだけに、今、その重要性を感じます」(柴岡校長)

 「完全2人担任制」には、教師の責任感を高めるというメリットもある。教師全員が担任である以上、進路情報から日々の生活指導に至るまで、あらゆる情報が各教師と関係してくる。学年を一つにするための知恵といえるだろう。

 また、教師の団結力だけでなく、保護者・卒業生との団結の強さも、岡山朝日高校の伝統といえるだろう。「母の会」は、戦後間もなくから続いているPTA組織だ。近年、活動が活発化し、保護者主導で「校長を囲む会」「進路課長を囲む会」といった懇談会が企画されるなど、教育方針の更なる浸透が図られている。

 教育活動に保護者を巻き込む重要性は近年、多くの学校で指摘されているが、岡山朝日高校では伝統として保護者との連携を守り続け、学校に活力をもたらしているのである。


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