五条高校が地域からの信頼を高めた背景には、高校入試改革によって、89年に複合選抜制度が導入されたことも見逃せない。
これは、県内すべての普通科高校を2学区4群に分け、A・Bの二つの入試日程を設けて、同一学区・群に属する異なる日程の2校を受験することができる制度だ(注1)。トップ校への学力上位層の集中を避けると同時に、生徒は一定の成績を上げれば希望校に入学できる。五条高校にとって大きなメリットだったのは、近隣地域の高校との併願が広く認められたことだ。当時、既に五条高校の進学実績は広く知られており、制度の改変により近隣地域の学力上位層が数多く五条高校を受験するようになったのである。国公立大合格者数350名を記録したのは、まさにこのころだった。
「学校群制度(注2)のころは、生徒は地元出身者が大半を占めていました。しかし、複合選抜制度導入後は名古屋市や一宮市からも多くの生徒が受験するようになり、広い地域から優秀な生徒が入学するようになったのです」と貝沼先生は述べる。その結果、現在では全体の3分の1が他地域出身者であり、出身中学校数は135校に上るという。
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