「これは大変だ……」
03年春、小山先生は大きな衝撃を受けた。その年に入学してきた生徒は、新課程の第1期生だった。中学校の学習内容がそれ以前の生徒より3割カットされていたために、生徒の学力は例年になく低いものだった。
「学力だけでなく、学習習慣の未定着や意欲の低下が目立ちました。まずは、学習時間をどう確保するかが大きなテーマになりました」(小山先生)
その年の学年では、これまでの指導をベースに次々と新たな取り組みを試みた。その一つが、週2回の英語と国語の朝テストの強化だ。目標点に達しなかった生徒には、追試を課すようにした。学習記録表も、つけさせるだけではなく、教師がチェックし丁寧にフィードバックするように変更した。
2年生の修学旅行後の10月から3年生進級時までの約6か月は、受験準備最重要指導期間とした。成績にも反映すると生徒に伝え、受験の土台となる国数英対策として、週末課題を中心に学習時間の確保に努めた。
更に、学力上位層のモチベーションを高めるため、当時、学年主任だった小山先生は、3年生の4、5月にかけて面談を行った。5~10人いる各クラスの成績上位者を1人ずつ呼び、30分~1時間、顔を突き合わせた。高い目標を掲げる生徒には激励を送り、実力以下の大学を志望している生徒には「もう少し上を目指したらどう?」と発破を掛けた。
「受験は団体戦。学力上位層の生徒たちにクラスのリーダーになってもらい、雰囲気を盛り上げてほしかったのです。それがクラスを引っ張り、学年全体の力になっていく。以前は個々の教師でしていた取り組みでしたが、学年全体で行うことでより効果的なものになりました」(小山先生)
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