指導変革の軌跡 茨城県立下妻第一高校「進学実績の向上」
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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生徒、保護者、地域のニーズに応え、信頼感を醸成

 新しいものを貪欲に取り入れる姿勢は、学習指導だけにとどまらない。スクールバスは06年度から3ルートを8ルートに拡大した。06年度入試より茨城県も全県一区となり、遠方からでも通いたいという意欲のある生徒に応えるためだ。大学入試後には、3年生の進学状況の速報を、県内の中学校などに配付。下妻第一高校を広く知ってもらう活動の一環だ。

 「今春、難関国公立大の合格者の中には、予備校に通わず、本校の指導だけで合格した生徒がいます。私たちが目指すのもそこです。授業と課外、課題をしっかりやれば、国公立大に入れる高校にすることです。本校は、生徒、保護者、地域、学校の信頼関係が旧制中学時代から続いていますが、近年、大学合格実績が右肩上がりになり、更に地域の信頼が高まっていると感じます」(小山先生)

 06年度入試で国公立大に現役合格した123名のうち、75%が部活動に参加し、うち61%が運動部に所属していた。最後まで粘り続ける体力と精神力は、部活動を通して養われていると、青柳校長は考える。

 「本校は伝統的に文武両道を掲げ、この実践が大きな力になっています。進学のために部活動を軽んじることはありません。進路指導と部活動指導のバランスを取って、勉強するときには勉強に集中する。体を使うときは思いっきり動かす。この切り替えがうまくいっていると感じます」

 国公立大の後期試験での合格者が32名に上ることからも、生徒のあきらめない姿勢がうかがえる。その裏には、前期試験のあと、希望者には個別に後期試験対策を指導した教師たちの粘りもあった。

 「運動部の生徒の学力は10月ごろから伸びてきます。特にセンター試験が終わってから3月までが、一番伸びる時期です。あきらめないで後期試験まで頑張ることができれば、合格する可能性が高まるのです。そこで、自信を失いかけていたり迷ったりしている生徒を個別に呼び出し、学習面だけでなく、メンタル面のケアも徹底しました」(小山先生)

 下妻第一高校は今、新たな目標に向かって進んでいる。「国公立大140名、難関大30名以上」という中期目標を05年度に掲げたのだ。

 「5年くらいの長期間でじっくりと取り組み、最終的に達成させようと考えています。今、上り調子で来ていますが、ここで満足しては落ちてしまうでしょう。更に新たなステージへ向け、教師間のコンセンサスと教師の指導の改善がより重要になってくると思います」(青柳校長)


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