世羅高校では補習で基礎学力の定着を図る一方、受験を視野に入れた総合力の育成と共に大学進学後を見据え、自学自習の習慣づけも目指している。
総合力の育成を図るのは、1、2年生で実施する校内実力模試だ。
「補習や添削指導で基礎学力がついても、応用力のない生徒は少なくありません。教科書の問題は解けるのに、模試では類題すらも解けない。授業や参考書で学んだ、どの単元の問題かがわからないと解けないのです。そこで、出題範囲を限定しない模試を行い、受験に必要な総合力を身につけさせようと考えたのです」(水野先生)
校内実力模試は年2回。1回目が3教科、2回目が5教科で、作問は世羅高校の教師が行う。実施日は復習も兼ねて、進研模試などの少し前に設定している。「進研模試の成績が上がれば生徒も元気になる」と水野先生。実施前には、事前に校内模試対策のプリントを配り、過去に学んだ単元のポイントの振り返りをさせる。実施後には講評し、できなかった部分はどの単元だったのか、足りない力は何なのかを生徒に自覚させ、次の学習へとつなげていくのである。
一方、全学年が取り組む「今週の学習記録」は、規則正しい生活習慣の確立と自学自習の習慣づけを促すためのツールだ(図2)。
生徒は、その日の授業の反省(授業での学習態度を4段階で自己評価)、帰宅後の学習時間、具体的な教科と範囲、総学習時間を記入して翌日提出する。担任はコメントを添え、その日のうちに返却する。チェックの観点はクラスの特性によってさまざまだ。特進クラスでは、学習時間や教科バランス、普通クラスでは生活のリズムをつけさせることに留意するという。
世羅高校が生活習慣の確立に力を注ぐ背景には、受け身の生徒が多いことへの危惧がある。3学年主任の山下淳子先生は次のように述べる。
「生徒に最も欠けているのは主体性です。本校では、2年次から希望者を対象に国英の添削指導をしています。熱意のある生徒はそれを受けてどんどん伸びていきますが、半面、自分で課題を見つけて解決する力は身につきません。教師が手をかけすぎてしまうことも一因ですが、まずはしっかりと生活のリズムをつくり、自学自習の習慣をつけさせることが、本校の最大の課題だと考えています」
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