図2の観点3で述べたような、従来の高校入試ではあまり問われなかったPISA型学力として特徴的な設問の出題割合は、各教科とも多くはなかった。また、05年度と06年度を比較しても、PISA型学力として特徴的な設問の出題割合が多くなったということはいえなかった。 国語における出題の割合は、図3のような結果となった。「熟考・評価」型の問題は、05年度・06年度どちらも5%程度の出題となった。「非連続型テキスト」の出題は、両年度とも全都道府県の大問中8大問だった。
現状の高校入試では、読解力向上プログラムで「三つの重点目標」に掲げられた「熟考・評価」や「さまざまなテキストの理解」を試す問題は、多くは見られなかったといえる。 ただ、出題されている問題は工夫されており、受験者の「理解の深さ」を確認するような良問が多かった。 また、ベネッセ教育研究開発センターでは、全国の教育委員会に、高校入試の選抜方法について、実施および実施検討の状況を聞くアンケート調査を行った(図4)。
その結果、既に問題解決能力を測る問題を出題していたり、PISA調査に見られるような読解力・数学的リテラシー・科学的リテラシーについても実施を検討するなどの回答が寄せられた。従来の教科的な力を重視すると共に、新しい学力の測定方法についても検討の過程にあることがうかがえた。 現状の高校入試での出題はわずかだが、今後、徐々に反映されていくだろう。